ペキニーズの歴史

皆さんは、愛犬の犬種の歴史を知っておりますでしょうか。今回はペキニーズの歴史をご紹介します。愛犬がどのような歴史をたどってきたのか覗いてみましょう。

その昔の姿

2000年以上もの間、中国の王朝で、愛玩犬として繁殖を受けてきた、おそらく中国最初の純血犬種と思われます。とはいえ、ペキニーズを世界に広めたのはイギリスです。中国皇帝のお屋敷の庭から、イギリスに連れられ、スキルのあるブリーダーの手にかかり、次第にそのルックスは純血犬種らしくなっていきました。

当初(1900年代はじめ)の写真を見ると、現在のペキニーズとはかなり違った見かけをしていたのがわかります。サーチエンジンでで「Ah Cum pekingese」で検索してみると、剥製にされた小型の茶色い犬の写真を見つけることができます。Ah Cumというのは、中国皇帝の元で生まれた正真正銘の、欧米にもたらされた初代ペキニーズ。見かけは、どうみてもチベタンスパニエルのようです。つまり最初のペキニーズは私たちが知る現在のペキニーズよりも、毛量もそれほど豊かではないし、マズルも今ほどペタンコではありませんでした。そして脚もやや長めでした。

健全性を失っている現在の状況

ペキニーズの外見は1900年代の初めから中頃までイギリスのショー世界を風靡したアルダーボーン犬舎の犬あたりから、現代風に変わっていきます。このように原産国から連れてきた犬がヨーロッパで姿を変え血統犬種になるのは、ペキニーズに限ったことではありません。ただし、ペキニーズの場合、その犬種改良は は少々行き過ぎたようです。極端なみかけに「改良」されることになって
短頭犬種特有の気道閉塞症候群(brachycephalic obstructive airway syndrome:BOAS)と呼ばれる上部気道が閉塞する疾患に罹りやすくなりました。これは、現在ヨーロッパでそしてペキニーズファン、ペキニーズブリーダーの間で大きく取り上げられており、ファンのみならず純血犬種の一般愛好家の関心の的となっていることでもあります。中でも軟口蓋過長症はペキニーズがかかりやすい疾患として知られており、健全性を意識しているブリーダーであれば、この疾患を持つ個体を繁殖には使いません。

まるで赤ちゃんのような顔をしているけれど!

生涯赤ちゃん顔、天使のようなかわいさ。にもかかわらず、その実なかなか頑固、というのは世界のペキニーズ愛好家が同意するところでしょう。
最初から、きちんと、しつけに成らしておかないと(家のルールを守らせるとか、ひとつの枠組みの中で暮らす癖をつけておかないと)、自分の意志を通そうとして、なかなか折れてくれません。
「若いときに、あまりグルーミングに慣らされていないペキニーズの、ヘアカットを頼まれました。この子は、最後まで噛んで抵抗しましたね!いくら訓練してもだめ。若いときにやっておかないと」
と、とあるブリーダーの方が話してくれました。家にやってきた瞬間から、マナーを教えること。ペキニーズの場合、あとで「直し」というのがとても効きにくいのです。自分で勝手にルールを作って、生涯わがままな犬になってしまうでしょう。子犬だから、と大目にみてしまったら、大変ですね。フワフワしてかわいい小型犬の子犬だけに、多くの飼い主さんはついつい甘くなるようですが、それは禁物。子犬の時から、大人犬に接するように、こちらのルールは徹底させることです。

シーズーよりもコートケアは楽!

小型で長毛種の短頭犬種といえばペキニーズの他にシーズーがいます。そしてペキニーズよりシーズーの方世界的に人気があります。もしかしてペキニーズの方がコートケアーに時間がかかりそうだと、多くの人は引いてしまうのかもしれませんね。しかしペキニーズを飼っている人は
「いえ、シーズーよりむしろコートケアは楽なんですよ」
と言います。というのもペキニーズはアンダーコートとトップコート、それもかなり厚めのトップコートでなっています。一方で、シーズーは多少アンダーコートがあるものの、フワフワして扱いづらいということ。それゆえ入念なケアが必要です。おまけにショーに出る、というのでなくペットとして飼うのであれば、それほど頻繁にシャンプーをする必要はありません。

またシーズーと異なり、顔周りの毛をいちいちきれいにする必要がないというのも長所ですね。
ペキニーズの場合、顔だけなぜか被毛が短く…、そう、だからお猿のような顔に見えるのです。

口のまわりの毛に食べ物とか水がしたたることがなく、清潔に保てます。

文:藤田りか子

TOPICS

表示する記事がありません

/