この犬種は愛玩犬種のグループに入ったほうがよくない?

〈新しい愛玩犬種グループの提案 〉

現在、いわゆる愛玩犬と呼ばれる小型犬種はFCI(世界畜犬連盟)のグループ分けによると、大半はグループ9(愛玩犬種、トイ犬種)に属していますが、実は何種かは他のグループにも散らばっています。FCIはその犬の元々の機能(使役)によって、あるいはその犬種の起源となった犬種の使役をもとにグループを分けているので、たとえ現在害獣退治という仕事が与えられていないたとえばヨークシャーテリアといえども、テリアに分類されるわけです。

というか、ほとんどのテリア種は現在生粋の愛玩犬であり、昔のように農家に飼われてネズミやウサギ退治に使われたり、狩猟に使われたりするということは、少なくとも日本ではほぼないといってもいいでしょう。なんといってもテリアの大半は小型犬であり、愛玩犬としてサイズはぴったりだからです。とはいっても、テリアの持つ突発的な動きや狩猟欲をみるとやはり「その昔…」のことを思い出さずにはいられません。

イタリアン・グレーハウンドは、視覚ハウンドとして小型の狩猟犬として活躍していましたが、その手頃なサイズゆえに同時に貴族の愛玩犬としても持て囃されていました。日本でもファンが多い犬種ですね。グループ10に属していますが、たとえばイギリスケネルクラブのグループわけでは、トイのグループに入っています。

ミニチュア・ピンシャーやミニチュア・シュナウザーも日本ではとても人気がありますが、こちらもグループ9には入っておらず、FCIの区分ではグループ2にいます。グループ2は使役犬ですが、しかしミニチュア・ピンシャーとミニチュア・シュナウザーは機能の面でみると歴史を通してほぼ愛玩犬として飼われていました。グループ2にいるのは、その起源となった犬種、ジャーマン・ピンシャーやスタンダード・シュナウザーが農場で活躍していたというのが理由になります。イギリスとアメリカのケネルクラブのグループ分けでは、ミニチュア・ピンシャーはトイ・グループに入っていますが、ミニチュア・シュナウザーはイギリスではユティリティ、アメリカではテリア(!)のグループに入っています。

そしてポメラニアン。日本では昔からお座敷犬として人気があるトイ犬種です。こちらはFCIの区分ではスピッツ系のグループ5に入っていますが、イギリスやアメリカのケネルクラブの分類ではトイに分けられています。なぜかというと、イギリスとアメリカにはスピッツ系を集めたカテゴリーがないからとも言えますが、感覚的にもやはりポメラニアンはトイのほうがあっていますね。ポメラニアンは確かにドイツスピッツのミニチュア版で系統的にはスピッツの犬です。しかし犬種がブリーディングされた時の目的は完全にトイの愛玩犬でした。

ダックスフンドはFCIでは独自のグループ(グループ4)を築いていますが、日本では完全なる愛玩犬種です。しかしイギリスを除くヨーロッパではまだ大部分の犬が狩猟犬として活躍しています。日本はアメリカの家庭犬事情から影響を受ける国なので、それでダックスフンドが愛玩犬としてもたらされたのでしょう。なぜ、イギリスやアメリカではダックスフンドが狩猟犬ではないのか。それは、そもそもイギリスにはダックスフンドを使って狩猟をする伝統がないからです。アメリカは歴史的にイギリスの犬文化を受け継いでいるので、やはり同様にダックスフンドとの狩猟の文化はありません。とはいえ、ダックスフンドでもロングヘアードのタイプはヨーロッパでもほとんどが純粋な家庭犬として飼われています。ですので、コートタイプによって、ダックスフンドはカテゴリーを分けるといいかもしれません。

以上見てきた通り、FCIかアメリカあるいはイギリスケネルクラブによって、グループ分けは微妙に異なります。イギリスやアメリカの「トイグループ」はより日本の事情にピッタリとあっているような気もしますが、実は必ずしもそうではなく、たとえばFCIではトイ・愛玩犬グループに入っているトイプードル、チベタンスパニエル、ボストンテリアやフレンチブルドッグはイギリス・ケネルクラブのユティリティ・グループに入っています。アメリカのケネルクラブでは、ボストンテリアとフレンチブルドッグ、チベタン・スパニエルはノン・スポーティング・グループというカテゴリーに入っています。

FCIと、アメリカンケネルクラブ、イギリスケネルクラブのよいとこどりで、「現代にあった愛玩犬のグループ」というのをぜひ作ってみたいものですよね!?

新たなグループ分け体系を作るとしたら

犬種のグループ分けの秘密

文:藤田りか子

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