ペット業界で活躍するスペシャリストにフリーステッチスタッフがインタビュー!シリーズ 第15弾
"DOG NOOK Training"を運営するドッグトレーナー有動 敦胡さんへ、フリーステッチスタッフの杉山さんにインタビューしていただきました。
Q1 自分自身を犬に例えるとなんの犬種だと思いますか?
A1 凄い難しい質問で(笑)。色々な犬と暮らしてきて、(それぞれ)性格が違うのもわかっているけど、自分の性格も未だにわかっていないところもあるので、あえて言うなら色々な血が混じった雑種、かなと思います。日本犬も洋犬も全部混じった子、色々な性格も入っていて…くらいしか考えられませんでした。
Q2 どのような経緯でドッグトレーナーという職業に興味をもち、なろうと思われたのでしょうか。
A2 トレーナーさんあるあるだと思うんですけど、小さい時から犬が居たんですね。ずっと。母が好きだったからなんですけど、それはそれとして、真剣にちゃんと系統的に学んで、自分をアップデートしていかないといけないなぁと痛切に思ったのは、保護活動を始めてからです。
最初はトレーナーじゃない時に犬を預かったりしていたんですが、うちの母が育てた犬は問題がなかったんです。吠えたり、いわゆる”無駄吠え”と言われるような吠えを継続的にしたり、ゴミ箱を漁って家が〇〇だらけになるとか、トイレの失敗とかもなくて。でも、預かってみたら色々なことが起きた。色々な癖のある子たちが来て、なぜか預けられる子たちがどんどん難しい子になっていったんですよね。
これは従来の方法ではもうダメなんじゃないか、どうやって日本語が通じない子たちに伝えるんだろうと思って。もちろん色々なワークショップとかセミナー…当時から海外のトレーナーさんも来ていたので、聞きに行ったりもしていたんですけど。どんどん勉強していかないといけないと思ったのがきっかけです。
Q3 トレーニングやしつけをする上でのこだわりや、伝えていきたいことを教えていただいてもよろしいでしょうか。
A3 トレーニングのこだわりね。色々あるけど、やっぱり飼い主さんに寄り添うことですかね。飼い主さんが困っているというより(本来は)犬が困っているんですよ。だから昔は「犬を助けなきゃ!」みたいになっていたんですけど、それだと飼い主さんが置いてきぼりになっちゃうんだよね。なので飼い主さんとお話をするときに、飼い主さんが本当は何を望んでいるのか、どういう暮らしを今の愛犬さんと本当はおくりたいのかをすごく聞くようにしています。
「カフェに行きたいけどうちの子は犬がダメだから、スルーできればいいです」って言うんだけど、スルーできるだけでいいですか? 本当にやりたいことがあるなら、それは何ですか? という風に聞いて、そこをゴールにしたいなと思っています。
犬のトレーニング、いわゆるしつけって日進月歩なんですね。で、日本での訓練士さんやトレーナーさんの資格って一回取ったらずっとそのままなんです。けれども、色々な事が証明され、色々な研究が行われて、色々なことがわかってきたりしている。そうするとトレーナーもですけど、飼い主さんもアップデートしていかなきゃいけない。前の子は大丈夫だったかもしれないけど、今の子がダメなんだったら、そのやり方じゃだめなのかもしれない、とか。前の子で大丈夫だったけど、もっと良い方法は? 犬に伝えやすい、わかりやすい方法はないかな?とか。そういうところをどんどんお伝えできたらなと思います。
Q4 長年わんちゃんたちやそのご家族と向き合ってきたからこそ、愛犬と一緒に暮らしていく上でどんな知識が必要だと思われますか。
A4 一つは、犬として尊重すること。日本語がわからない人間とは違う異種の動物であること。それはいわゆる「犬なんだからこうだ!」ではなくて、ただ、「異種の動物である」ということを認識すること。
加えて、”行動がなぜ起きるのか”みたいなことは知っておいても良いのかなと思います。行動の問題、例えば…「吠える」っていう問題が、性格のことにすり替えられて話をされることって多いと思うんです。「気が強いから」じゃあ気が強い犬は何をするの?「吠える」。吠えるのはなんで?「気が強いから」っていう風に、ぐるぐるになるんですよね。
そういうすり替えの知識よりも、「吠える行動はどういう風に違う行動に転換できるか」とか、「吠えずにほかの行動をしてもらうためには何が必要なんだろう」「どういう行動の幅が必要なんだろう」ということを、やっぱり飼い主さんにもどこかで理解していただけたらなと思います。もちろん理解してもらう方が少ないのは、私たちトレーナーのせいかなとも思います。…もうちょっと(自分も)頑張らなきゃとも思います(笑)。
<スタッフ>私も最初フレンチブルドッグを飼っていたので、そんなにしつけは、最初から良い子だったので全然問題無かったんですけど、次にスタンダードプードル、大型犬を飼って。全然知識が無かったし、大きいので力加減とかも、すごくたくさん家族で勉強して、色々な友達と触れ合ってどんどん学んでいきました。
素晴らしい! いいですね! 全然違うよね。やっぱり「犬」だけど、犬種もあるかもしれないけど、その子によって全然違いますよね。
私は保護活動をやっていることもあって、例えば「前にヨークシャテリアを飼っていたから、ヨーキーが欲しいんです」って言われたり。「前の子は…」とか…それはトレーナーとしてでもですけど、よく聞きますね。「前の彼氏は…」って言って「今の彼」とか「旦那さん」を比べますか、今でも? っていう風に聞いちゃうけど(笑)。みんな違うし、私も「前の彼女は」とか言われたくないし、「前の奥さんは」とか言われたくない。私は私って思うので、犬もやっぱりそうじゃないかなと思います。
Q5 今行われている活動を通して、目指している目標について教えていただいてもよろしいでしょうか。
A5 お。難しいですね~。目標ね。私の友人トレーナーが「有動さんが言ってたことを私も一緒にやりたいよ」と言ったことがあったんです。それはね、私が「生きているうちに違う景色がみたい」って言ったんです。なんか変わってなかったり、ちょっと停滞していたり、トレーニングが昔の昭和のしつけとちょっと似ていたり、あと”やり過ぎたり”っていうのもあるのかな。
今、子供のしつけでも「褒めて伸ばす」とか、どうなの?って言われているところもあるかもしれないけど、少なくとも過去とは違う景色が、ご家族と犬さんたちとの関係性とか、もっと言ったら、人間と動物との関係性がね。犬もまだまだ随分舐められているというか、トラにはやらないでしょう?ということを、ライオンにはやらないでしょう?ということをやったりするし。もっと言ったら、うちの団体「the VOICE(ぼいす)」は、犬猫、うさぎも保護しているんですね。ハムスターも保護したことがあって、その小動物への扱いというのがやっぱり悲しいんですよ。
そうすると犬だけではなく、動物と一緒に暮らすって相手の動物種のことを理解しないと難しいと思うので、そこはずっと継続して学んでいきたいなと思うし、みんなで学ぶ未来が見たいなと思います。
Interviewee: Dog trainer Atsuko Udo
Interviewer: freestitch Stuff Akane Sugiyama