純血犬種ではない犬 その2 ミックスとクロスについて

人という動物にさまざまな人種があるように、犬にも犬種があります。とはいえ、人種とは異なり犬種の場合、非常に狭い個体数で繁殖が行われます。それゆえに近親交配度が非常に強いことが近頃の研究で指摘されています。さて、このような純血犬種がいる一方で、そうではない犬たちもいます。世界の犬総人口から犬種と呼ばれる犬を除いた残りの犬って、一体なんと呼んだらいいのでしょうか?

クロスブリーディング
前回の記事ではその一種である野犬についてお話をしました。野犬の中には人の助けを借りず野生の状態で生まれたノイヌというタイプ、さらに、人にかつて飼われていてものの、捨てられ自分で生きている野良犬というタイプの二つがいます(かなり大雑把な分類であることをご承知くださいね)。

飼われているものの、犬種なのか、何がまざっているかわからない犬は日本では雑種犬と呼ばれています(もちろん飼い主のいないノイヌや野良犬もたいていは雑種犬のカテゴリーに入っています)。英語ではミックス(正しくはMixed breed)とかモングレル(Mongrel)といいますね。そして最近では「クロス」と呼ばれる犬もいます。
そもそもクロスってどういう意味なのでしょう?正しくはクロスブリーディング (Crossbreeding) と英語ではいいます。英語の辞書であるウェブスターディクショナリーでクロスブリーディングの定義を見てみると、「同じ種内における異なるバラエティあるいはブリード(純血品種)を掛け合わせること」と記されています。

家畜や作物の品種改良では頻繁に行われている
異なる品種同士を掛け合わせてよりよい子孫を作り出す、というプロセスは作物や家畜の品種改良のために歴史を通してさかんに行われていることです。鶏肉といえばブロイラーという鶏が有名です。ブロイラーというのは7〜8週間で出荷できる肉用若鶏の総称であり、二つの品種のクロスブリーディング(白色プリスマック種X白色コーニッシュ種など)が一般的です。(参考:wikipedia プリマスロック

異品種同士をかけあわせることで、血の濃さを減らしてより健全な個体をだすことができます。さらに品種改良も意図としています。肉用若鶏であれば、少ない飼料でできるだけ早く成長するよう改良し、経済効率をねらいます。

デザイナードッグ
そして異品種同士の掛け合わせは今、犬の世界でも行われていることですね。ただし犬の場合、見かけを変える、気質を変える、というのがその目的であります。英語圏の世界では犬種同士のクロスブリーディングで生まれた犬をデザイナードッグとも呼んでいます。

ただしクロスブリーディングの末に犬種になる、ということもたまにあるのですね。クロスブリーディングはたいてい一世代で終わってしまうものです。これを犬種として確立させようとするのであれば、犬種として定めた特徴(見かけでもいいし、作業能力でもいいでしょう)が固定するまで何世代かにわたって交配を繰り返すことが求められます。現存する犬種にもクロスブリーディングの末にできたものがたくさんいますが、多くは数十年という年月をかけて作り上げられています。これは数種の犬とクロスブリーディングを何度も繰り返したり、あるいはバッククロス(クロスした結果の子孫を両親のどちらかと同じ犬種の犬とかけあわせること)をしたりして、求める特徴をある程度固定させたからともいえます。

オーストラリアン・ラブラドゥードゥルは、犬種として見なされてはいますが、どちらかというとまだ犬種として発展途中の個体群ともいえるでしょう。おそらく数十年後には今よりももっとはっきりとした犬種の特徴ができあがり、世界で認められる犬種となるに違いありません。一方で、ラブラドール・レトリーバーとプードルを掛け合わせた一世代限りのクロスブリーディングの末にできた犬は、ニックネームとしてラブラドゥードゥルと呼ばれているようです。

まとめ:犬種は何世代もかけあわせながら、一定の特徴をだすことができる個体群、クロスブリードは一世代限りの異品種交配、と考えるとわかりやすいでしょう。

ハイブリッドとクロスブリーディングはどう違う?
クロスブリーディングとよく間違われるのが、ハイブリッドです。これは一般的には異種を掛け合わせたものと理解されています。つまり種が違うもの同士。オオカミと犬の掛け合わせはハイブリッド。その結果生まれた動物は、オオカミ犬などと呼ばれています。また、メスのウマとオスのロバのハイブリッドはラバと呼ばれ、労働馬として活躍しています。

ではミックスとは?
さて、ミックスドッグと呼ばれる犬は一体なんなのでしょうか?こちらは両親がどんな犬かわからず、いろんな犬の交雑であることが多いようです。
しかしミックスと思われている犬でも、たとえば地理的に閉ざされ(島など)、よそから血が入ってこないような個体群に属していれば、実はそれを「犬種」としてみなしてもいい場合もあるのですね。世界の多くの犬種がこのタイプに属します。その辺にいるなんでもない野良犬だと思ったら、実はその地方の犬ならでは、の特徴をもっていた、というパターンです。こういった犬たちを世界で発見してかつてイギリス人はどんどん犬種として作り上げていったものです。

純血犬種ではない犬
その1 野犬とは
その2 ミックスとクロスについて
ミックス犬のおもしろさ
ミックス犬にもお国柄がある!

新たなグループ分け体系を作るとしたら
犬種のグループ分けの秘密

文:藤田りか子

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